小説書きさんに100のお題 其の壱
2004年2月11日 不定期連載 小説書きさんに100のお題小説書きさんに100のお題を元に小説のワンシーンを書く企画です。
お題はこちら
http://page.freett.com/yanagii/100/
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「ウィルス?」
見慣れたディスプレイをじっと見ながら、美夜は首を傾げた。血のような赤黒い画面に、小さな灰色のウィンドウ。画面と同じ赤い色で記号のような文字。こんな趣味の悪い壁紙にした覚えはない。
「ちょっと違うけど、まあ、そんなもん。聞いた事ない? 得体の知れないメールとかホームページで、あやしいファイルを開くとこうなるの」
面白いものでも見るかのように大和はひゅーと口笛を鳴らした。煙草を懷から取り出しのんびりした手付きで火をつける。呑気なもんだ、自分のマシンが感染でもしようものなら、地団駄を踏んで悔しがっていただろうに。
「まぁ、大丈夫でしょ。美夜ちゃんのだったら、そんな大した情報入ってないし。消えてもOKOK」
ふーっと煙を吹き出しさらりと言う。
「むかつくぅ。だからって放っておくわけにもいかないでしょ」
どのキーを押しても画面に変化がないのをいい事に、美夜は力任せにキーを連打した。画面は相変わらず、趣味の悪い赤で塗りたくられたままだ。作った人間の脳味噌の中をいっぺん調べてやりたい。
「マシンに八つ当たりすんなって、ちょい、貸してみ」
「D」とイニシャルの入ったマシン、それとケーブルをリュックから取り出すと大和は美夜のパソコンと接続を始めた。
「待って、アンタのも感染しちゃうんじゃ……」
「残念でした。美夜ちゃんのと違ってオレのは防御固いもんね」
見てもらっておいて文句を言うのもなんだが、こういう言い方しかできないのか、こいつは。なんだか別の意味で腹が立ってきた。
「ほーらちゃんと入れた。感染もしてないし大丈夫大丈夫」
「ムカつくぅ」
以前、会社のマシンでアダルトサイトを閲覧し、挙句の果てにホームページからウィルスに感染してマシン1台不意にしたのはどこの誰ですか。と喉元まで出かけた文句をかろうじて呑み込む。今へそを曲げられたらお手上げだ。
「うわ、こいつアホか」
何やら嬉しそうにキーを叩いていた大和が心底疲れたような声を上げた。
「どうしたの?」
「スパイウェアみたい。これ」
「スパイウェア?」
「普通はマシンにこっそり入り込んで中のデータを盗んだり、その人のプライベートを除き見たりするもんだけどね、ここまで自己主張が強いの初めてみた。バレるに決まってるじゃん、こんなの」
文句をたらしつつ大和は自分のマシンのキーを叩いた。
「美夜ちゃん、二週間くらい前に何かおかしなことなかった? こいつ、10日以上も前からあるファイルみたいだけど?」
どうやら正体を見極めたらしい。2週間前? 確か、クライアントからの依頼があった。渡された資料のファイルを見ることができなくて、指示されたワープロソフトをインストールしたのだ。何日もしないうちに無事に任務も終了し、使わないそのソフトもすぐに削除した。
まさか、それが?
その得体の知れないモノは、二十日余りの間マシンの中で生息していたことになる。美夜が画面に向かって仕事をしていたときも、メールを書いていたときも。電子会議で話していたあの会話も。
「おめでとう、やられたね」
そっけなく呟いた大和の一言に、また一つ腹が立った。
まあ、言っていることとは裏腹に、彼の頭の中は犯人に見舞うお礼のことで一杯なのだろうが……。
っちゅーわけで 63.寄生 でした。
ネタは一部フィクションです。
マシンの中に寄生するスパイウェア、そんなもん流行るなっつー感じだけど、微妙に流行ってます。
活動がじみーなので、気付くのが遅れるのもいやらしいとこです。普段やってる作業が微妙に遅いとか、ネットがプチプチ切れやすくなったとか、ウィルスソフトが教えてくれて始めて判明とかそんな感じみたい。
出回っているソフトの中には、本来の機能の他に、こっそり別のソフトも混ぜて、使っている人に内緒で情報をチェックしたり、メモリを使って別の作業させたりする悪質なもんがあります。(実際、そういうソフトがパソん中に入っちゃってどうしよーっていうヘルプが私んとこに来ました←最近、微妙に歩くヘルプデスクをする回数が増えてたりする)
みなさん、注意しましょう。こわこわ( ̄▽ ̄;
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「ウィルス?」
見慣れたディスプレイをじっと見ながら、美夜は首を傾げた。血のような赤黒い画面に、小さな灰色のウィンドウ。画面と同じ赤い色で記号のような文字。こんな趣味の悪い壁紙にした覚えはない。
「ちょっと違うけど、まあ、そんなもん。聞いた事ない? 得体の知れないメールとかホームページで、あやしいファイルを開くとこうなるの」
面白いものでも見るかのように大和はひゅーと口笛を鳴らした。煙草を懷から取り出しのんびりした手付きで火をつける。呑気なもんだ、自分のマシンが感染でもしようものなら、地団駄を踏んで悔しがっていただろうに。
「まぁ、大丈夫でしょ。美夜ちゃんのだったら、そんな大した情報入ってないし。消えてもOKOK」
ふーっと煙を吹き出しさらりと言う。
「むかつくぅ。だからって放っておくわけにもいかないでしょ」
どのキーを押しても画面に変化がないのをいい事に、美夜は力任せにキーを連打した。画面は相変わらず、趣味の悪い赤で塗りたくられたままだ。作った人間の脳味噌の中をいっぺん調べてやりたい。
「マシンに八つ当たりすんなって、ちょい、貸してみ」
「D」とイニシャルの入ったマシン、それとケーブルをリュックから取り出すと大和は美夜のパソコンと接続を始めた。
「待って、アンタのも感染しちゃうんじゃ……」
「残念でした。美夜ちゃんのと違ってオレのは防御固いもんね」
見てもらっておいて文句を言うのもなんだが、こういう言い方しかできないのか、こいつは。なんだか別の意味で腹が立ってきた。
「ほーらちゃんと入れた。感染もしてないし大丈夫大丈夫」
「ムカつくぅ」
以前、会社のマシンでアダルトサイトを閲覧し、挙句の果てにホームページからウィルスに感染してマシン1台不意にしたのはどこの誰ですか。と喉元まで出かけた文句をかろうじて呑み込む。今へそを曲げられたらお手上げだ。
「うわ、こいつアホか」
何やら嬉しそうにキーを叩いていた大和が心底疲れたような声を上げた。
「どうしたの?」
「スパイウェアみたい。これ」
「スパイウェア?」
「普通はマシンにこっそり入り込んで中のデータを盗んだり、その人のプライベートを除き見たりするもんだけどね、ここまで自己主張が強いの初めてみた。バレるに決まってるじゃん、こんなの」
文句をたらしつつ大和は自分のマシンのキーを叩いた。
「美夜ちゃん、二週間くらい前に何かおかしなことなかった? こいつ、10日以上も前からあるファイルみたいだけど?」
どうやら正体を見極めたらしい。2週間前? 確か、クライアントからの依頼があった。渡された資料のファイルを見ることができなくて、指示されたワープロソフトをインストールしたのだ。何日もしないうちに無事に任務も終了し、使わないそのソフトもすぐに削除した。
まさか、それが?
その得体の知れないモノは、二十日余りの間マシンの中で生息していたことになる。美夜が画面に向かって仕事をしていたときも、メールを書いていたときも。電子会議で話していたあの会話も。
「おめでとう、やられたね」
そっけなく呟いた大和の一言に、また一つ腹が立った。
まあ、言っていることとは裏腹に、彼の頭の中は犯人に見舞うお礼のことで一杯なのだろうが……。
っちゅーわけで 63.寄生 でした。
ネタは一部フィクションです。
マシンの中に寄生するスパイウェア、そんなもん流行るなっつー感じだけど、微妙に流行ってます。
活動がじみーなので、気付くのが遅れるのもいやらしいとこです。普段やってる作業が微妙に遅いとか、ネットがプチプチ切れやすくなったとか、ウィルスソフトが教えてくれて始めて判明とかそんな感じみたい。
出回っているソフトの中には、本来の機能の他に、こっそり別のソフトも混ぜて、使っている人に内緒で情報をチェックしたり、メモリを使って別の作業させたりする悪質なもんがあります。(実際、そういうソフトがパソん中に入っちゃってどうしよーっていうヘルプが私んとこに来ました←最近、微妙に歩くヘルプデスクをする回数が増えてたりする)
みなさん、注意しましょう。こわこわ( ̄▽ ̄;
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